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伊勢谷・オン・ステージ

ヨーロッパ公演から帰った伊勢谷は、今、芝居の真っ最中! 
燐光群のアトリエ梅ヶ丘BOXで『屋根裏』の凱旋公演に出演している。3月8日まで。この芝居は燐光群を主宰する坂手洋二のオリジナル戯曲で、再演につぐ再演だ。<屋根裏>キットが流行し、アパートの部屋の中に<屋根裏>を置いて、そこから出ない若者の話や売り場に置かれた屋根裏が気に入ってしまう女性の心が不思議な共感をよびおこす。ある時はその空間が吹雪のなかの山小屋に変容したり・・・。ヨーロッパ公演では観客が熱狂しっぱなしとか。舞台の伊勢谷はドキリとするほどセクシーだ。映画の伊勢谷は5月の風のようにさわやか。だから映画のなかで伊勢谷が舞台に立つと、なまの舞台とは違う魅力が生まれて―。

ゲーテと宣長

 今日はロマン主義の勉強会。
 ゲーテの「ファウスト」の最初の最初、座主と作者と道化の会話から――。
  作者
「詩人は何によって人々の心をうごかすのです。
 詩人は何によって宇宙の万物を支配するのです。
 この胸からあふれ出て、全世界をふたたび心のなかにくみいれる、
 美の調和ではないでしょうか。」
 
本居宣長の「あしわけをぶね」から歌について――。
「歌の本体、政治をたすくるためにもあらず。身をおさむる為にもあらず。ただ心に思ふことをいふより外なし」
 

もうひとりの浪漫者

 日本浪曼派の保田與重郎と共に同じ時代を生きた浪漫者たちがいる。そのひとりの蓮田善明(はすだぜんめい)。もし、「浪漫者たち」の続編ができるとしたら蓮田善明が登場するだろう。東大生・保田與重郎が文学雑誌「コギト」を創刊した時、善明は28歳だった。保田たちに刺激を受けたのか、結婚して長男も生れた善明だったが、広島文理大に入学し、国文学を猛烈な勢いで学び始める。その前に善明は広島高等師範文化第一部(国語漢文専攻)を卒業し、教師をしながら文芸同人誌などを出していたが、妻子を熊本の実家にあずけ、単身下宿して国文学の徒となったのである。善明の足跡をたどるとしたら、生誕地熊本、学びの地の広島、教師として赴任した岐阜や諏訪、台中、世田谷雑司ヶ谷などを訪れることも必要かもしれない。
 桜井に生れた保田與重郎は、やまとの風景と一体化していたと思うが、善明の風景は果たして熊本か、それとも――。 

Eluanaと教会

 17年間植物状態だったエルアナが北イタリア、ウーディネの病院で息をひきとった。父はそっとしておいてほしいと言い、政治家たちは互いに非難の応酬を続行。教会は、「彼女に対して人々が行ったことで神は咎めない」という声明を出した。
 イタリアはカソリックの国だ。
 何かあった時に教会はいつも意見や声明を出すし、新聞もテレビもそれをすぐ取り上げる。
 日本の神社は控えめな印象がある。

 

エルアナ

 今、イタリア中の関心が北のウーディネの病院で最期を迎えようとしているエルアナに集まっている。エルアナは交通事故により17年間植物状態が続いた女性だ。彼女に栄養分と水分を与える装置をはずして安らかな死の訪れを―。しかし、政府が法的介入をしようとしている。それをラ・レプッブリカ紙は非難する。エルアナに安らぎを与えるのこそ人間的倫理だという考えがあるのだろう。
 倫理というと堅苦しいかもしれないが、倫理は大切だ。
 イタリアは倫理があったかいと思う。
 共産主義だって、イタリアは(旧)ソ連のものとちがう。イタリア独自の共産主義を打ち立てたグラムシ。彼の共産主義はとっても人間的だ。だからスターリニズムになんてならなかった。
 それでもパゾリーニにとっては共産主義はかたくなな面を示した。
 第二次大戦後、パゾリーニは北イタリアのカザルサ地方で青少年を集めて塾をやったり、学校で教師をしたりした。彼は共産党に入って政治活動も熱心に行った。しかし、未成年者を誘惑したという疑いをかけられた。すると党はすぐに彼を除名した。故郷に居場所はなく、パゾリーニは母とふたりでローマに出た。
 共産党を除名されながら、パゾリーニは「自分こそ言葉の真の意味で共産主義者だ」と言う。そこにパゾリーニのロマンティシズムがあると、ぼくは思う。
 

 

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